食事は体をつくる栄養を取り入れる役割だけでなく、赤ちゃんの五感を一度に刺激できる大切な活動です。
五感の発達には1つの動作で様々な感覚を刺激することができたら理想的。それらの感覚を統合して、「心地よいとは
こういうことだ」と覚えていくからです。
ママが語りかけながらおっぱいをあげることは、肌が触れあってママの匂いをかぎ
ながら、ママの顔を見て、おっぱいを味わって、ママの声を聴くという、五感を一度に感じられる最適の方法です。
離乳食でも同様に、食事中に五感を刺激してあげたいですね。では、食事で刺激できる五感について、みていきましょう。
生まれたての赤ちゃんは、味を感じる味蕾(みらい)が未発達。
母乳の甘味は感じていると言われていますが、
味の微妙な違いはまだよくわかりません。
生後5〜6か月頃から味蕾が発達してきて、味の区別がついてきます。
離乳食が始まったら、多くの食材を体験させることで、
様々な味を味わうことができるようになり、好き嫌いなく育つことに役立ちます。
食事をしながら「おいしいね」「ごっくんできた?」など、語りかけることは、
食事の意欲をわかせるだけでなく、食事に集中して味わうためにも大切なことです。
食事中はテレビやスマホなどのメディアは遠ざけましょう。
メディアの音の強い刺激で、聴く意識がメディアに向かい、何を食べているのか、
どんな味なのかを感じることが疎かになってしまうからです。
赤ちゃんも嗅覚はありますが、初めはママの匂いがわかるくらいです。
物の嗅ぎわけは様々な匂いに触れることで発達していきます。
食事は嗅覚への刺激を与えるのに最適な場面。
離乳食スタート後は食べられる食材が徐々に増えていきますので、
素材を活かした食事で、食材本来の匂いを覚えられるようにしましょう。
生後直後は視力が低く、大きな柄やはっきりした色しか見えなかった赤ちゃんも、
離乳食が始まる頃には小さなものも見えるようになってきます。
離乳食のメニューにも3色以上の食材を使うと「何が入っているのかな?」と、
視覚的にも興味をわかせることができます。
離乳食は、噛んだり飲み込んだりする体の成長に合わせて進めますが、
その時期の赤ちゃんが心地よいと感じる舌触りの固さや大きさに
調理することがポイントです。
また、手づかみ食べは五感の刺激を促すためにとても良いこと。
食材の感触を認識し、自分の口まで運べるようになり、
おいしいと感じられるのは、赤ちゃんにとって大きな喜びです。
多少汚しても、「脳が発達中なんだ」と思って見守ってあげましょう。
小児科医。発達脳科学者。
文教大学教育学部特別支援教育専修教授。
文部科学省「リズム遊びで早起き元気脳」実行委員長。
子育てを応援する専門家による「子育て科学アクシス」を主宰。