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口腔ケア維持加算
経口維持加算とは?
経口維持加算とは摂食機能障害を持つ入所者に対して、他職種が共同して経口維持計画を作成し対応した場合に加算請求ができるというものです。これには経口維持加算(T)※1と経口維持加算(U)※2があります。
経口維持加算(T)※1:28単位/1日、経口維持加算(U)※2:5単位/1日
〈厚生労働省が定める算定基準〉
  1. 厚生労働大臣が定める基準に適合する介護保険施設において、医師又は歯科医師の指示に基づき、医師、歯科医師、管理栄養士、看護士、言語聴覚士、介護支援専門員その他の職種のものが共同して、摂食機能障害を有し、誤嚥が認められる入所者ごとに入所者の摂食・嚥下機能に配慮した経口維持計画を作成している場合であって、当該計画に従い、医師又は歯科医師の指示(歯科医師が指示を行う場合にあっては、当該指示を受ける管理栄養士等が医師の指導を受けている場合に限る。)を受けた管理栄養士または栄養士が、継続して経口による食事の摂取を進めるための特別な管理を行った場合には、別に厚生労働大臣が定める基準に掲げる区分(※)に応じ、当該計画が作成された日から起算して180 日以内の期間に限り、1日につき規定の単位数〔経口維持加算(T):28単位/ 1日、経口維持加算(U):5単位/ 1日〕を加算する。ただし、この場合において、経口移行加算を算定している場合においては、算定しない。また、経口維持加算(T)を算定している場合においては、経口維持加算(U)は、算定しない。
  2. 管理栄養士または栄養士が行う経口維持計画に基づく経口による食事の摂取を進めるための特別な管理が、当該計画が作成された日から起算して180日を超えた期間に行われた場合であっても、摂食機能障害を有し、誤嚥が認められる入所者であって、医師又は歯科医師の指示に基づき、継続して誤嚥防止のための食事の摂取を進めるための特別な管理が必要とされるものに対しては、引き続き当該加算を算定できる。  
    ※別に定める基準の内容
  • 経口維持加算(T)を算定する場合
    経口により食事を摂取しているものであって、著しい摂食機能障害を有し、造影撮影又は内視鏡検 査により誤嚥が認められる(喉頭侵入が認められる場合を含む)ものを対象としていること。
  • 経口維持加算(U)を算定する場合
    経口により食事を摂取しているものであって、摂食機能障害を有し、誤嚥が認められるものを対象と していること。
経口維持加算 適用のメリット
経口維持加算を適用することによるメリットとしては、まず、他職種が共同して経口維持計画を作成することで入所者の状態に対する認識を統一することができ、専門的な対応が可能になることが挙げられます。次いで、ムセ込みなどの症状がある入所者に対して、これまで施設内でサービスとして行ってきた様々な工夫が、経口維持計画を作成することによって加算対象になるようになったということも大きなメリットです。
他職種連携がスムーズに ⇒ 入所者へのケアが充実 ⇒ 入所者のQOL向上
経口維持加算 請求の手順
下図のような手順で経口維持加算を請求することができます。
請求手順の流れ
経口維持加算の算定に必要な検査

【経口維持加算(T)を算定する場合】

経口加算(T):28単位/1日
経口維持加算(T)は、ビデオレントゲン造影検査(VF)又は内視鏡検査(VE)により誤嚥が認められる方(喉頭侵入が認められる場合を含む)が対象となります。
●ビデオレントゲン造影検査(VF)
 
レントゲンを当てながら造影剤が入った食物を摂取してもらい、誤嚥の有無などを確認します。
●内視鏡検査(VE)
 
内視鏡で喉(のど)を観察しながら食物を摂取してもらい、誤嚥の有無などを確認します。
VFやVEを行うと、どのような食形態や食事時の姿勢、および食べさせ方が適切であるのか、また、どのような訓練が適切であるのかを判断することができます。

【経口維持加算(U)を算定する場合】

経口加算(U):5単位/1日
経口維持加算(U)は、水飲みテスト(「氷砕片飲み込み検査」、「食物テスト(Food test)」、「改訂水飲みテスト(MWST)」などを含む)、頚部聴診法、反復唾液嚥下テスト(RSST)等により誤嚥が認められる方が対象となります。
●改訂水飲みテスト(MWST)
冷水3mlを飲んでもらい、その状態を評価する方法です。4点以上の点数が取れた場合には最大で3回まで繰り返し、一番点数の低かったところを得点とします。
 

〈評価基準〉

1 嚥下なし and / or むせる and / or 呼吸切迫※3 嚥下障害の
疑いあり
2 嚥下あり、 呼吸切迫(不顕性誤嚥 の疑い)
3 嚥下あり、むせる and / or 湿性嗄声※4
4 嚥下あり、呼吸良好、むせない 正常
5 4に加え、追加嚥下運動が30秒以内に2回可能
呼吸切迫※3:息苦しさを訴える、息が荒くなる、ゼーゼー言う、など。誤嚥が疑わしいが明らかにムセが無い状態で、不顕性誤嚥の疑いがあります。
湿性嗄声※4:気管のほうに水分や食物が入っているために声がガラガラしてしまう状態を指します。
●反復唾液嚥下テスト(RSST)
のど仏を触りながら30秒間に何回嚥下できるかを数えます。のど仏が指を「コリッ」と乗り越えたら1回とカウントします。30秒間で嚥下の回数が3回未満であれば異常と判断します。

以下のような症例について経口維持加算を請求する場合、以下のような手順で必要書類を作成し、請求することができます。

【症例】

入所者 79歳男性
状 態 特別養護老人ホーム入居で、誤嚥性肺炎の既往があるが現在全粥刻み食を摂取しています。歯は上下とも5本以上残っており、部分入れ歯を使用しています。時々ムセるので状態を見て欲しいとのことで歯科医師に依頼しました。
評 価 内視鏡検査により飲む力の低下による咽頭残留があり気管に入りやすいことがわかりました。また、刻み食ではばらつくためにムセが多かったため、全粥に混ぜる、もしくはあんかけにするのがよいと指導を受けました。また、食後の口腔ケアは入れ歯を入れたまま歯を磨いていたため、歯の隙間などに食渣が詰まったままになっており、入れ歯は外して洗い、口腔ケア用のウエットティシュを用いて口腔内の大まかな食渣を取り除いてから歯磨きをするよう指導を受けました。更に飲み込む力を強くするために、寝たまま頭を起こす運動を毎日行うよう指導を受けました。
経 過 食形態を適切に変え、また、姿勢を正すことでムセが減少しました。また、口腔ケア方法を改善することでることで衛生状態は改善し、口腔ケアにかかる時間も大幅に短縮できました。更に、摂食・嚥下機能を改善させる訓練を実施することで、食事時にほとんどむせることはなくなりました。

【経口維持加算 請求の手順】

  1. 「摂食機能評価依頼書」(資料1)を作成し、医師又は歯科医師に評価を依頼します。
  2. 医師又は歯科医師により「経口維持の取組み実施の指示書」(資料2)を作成します。
  3. 評価を基に「経口維持計画書」(資料3)を作成し、ケアを実施します。
  4. 定期的に「経口維持経過及び評価用紙」(資料4)に経過を記載します。
  5. 計画書作成より180日後に最終評価を実施し、ケアの終了または継続を判断します。

〈留意事項〉

■当該計画については、入所者又はその家族に説明し、同意を得ること。
■180日以降も継続する場合は、医師又は歯科医師の指示は、概ね一月毎に受けること。

『口からおいしく食べること』は、多くの入所者やそのご家族の切実な願いであるケースが多いのですが、誤嚥のリスクがあるということも忘れてはいけません。誤嚥対策もしっかりとしておく必要があります。
誤嚥性肺炎の悪影響
脳血管障害を基礎疾患にもち、誤嚥性肺炎で入院加療を受けた患者さんの入院分の平均点数は約168,000点と報告されています1)。誤嚥性肺炎の発症により、患者さんの全身状態やADLが低下することはもちろんのこと、入院費のみならずその他介護費用や患者さんとご家族の苦痛なども生じます。
口腔ケアが誤嚥性肺炎の予防に役立つことがわかっていますので2)、日常的なケアをうまく組み合わせながら、安全で効果的な経口摂取を目指しましょう。

@ 誤嚥しにくい食事法

摂食・嚥下障害が疑われる入所者が安全に経口摂取するために必要な条件は大きく3つあります。

 ●適切な食形態  ●適切な食事時の姿勢  ●適切な食べ方・食べるペース これらを適切に設定することで、誤嚥リスクを大幅に低減することができます。しかし、それだけでは入所者の食べる機能の改善には直接つながらないので、誤嚥を最大限に防いだ上で、さらに摂食機能を改善させるような口腔ケアを取り入れていくことが大切です。

A 誤嚥時のリスクを低減させる口腔ケア

口腔ケアにより誤嚥を防ぐことはできませんが、口腔内細菌を減少させることで誤嚥時の危険性が低減できます。
ひと目で分かる!! 口腔ケア 簡単フローチャート
上図の「口腔ケアフローチャート」を用いることで、歯科医師・歯科衛生士以外の介護従事者にも簡単かつ的確な口腔ケアメニューが決定できます3)。口臭、痰、舌苔、歯垢・歯石、乾燥の5つの項目で判断できます。
〈ワンポイントアドバイス〉
  • 義歯がある場合は必ず外してからケアを行う。
  • 口唇より出血がある場合はワセリンなどを塗布してから行う。

B 摂食・嚥下機能を改善する口腔ケア・訓練法

下記のような症状がある場合は、摂食・嚥下機能が低下しているサインでもあります。経口維持計画に対応する口腔ケアメニューや訓練法を取り入れるとより効果的です。
症状 改善が期待できる訓練法
呼吸が浅い 深呼吸、両腕を上げて脇腹を伸ばす、体幹をひねる、ストローや笛を吹く。
頚が硬く自由な方向を向けない 頚を前後左右に動かす。
声がかすれている 手を押し合う、もしくは引き合うことで上肢に力を入れさせることで、声門が閉じる力を強くする。
舌の動きが悪い 舌をガーゼでもって口から引き出して伸ばす、舌で自分の頬を押してもらう。タ行、カ行、ラ行などの構音を繰り返してもらう。
飲み込む力が弱い 寝たまま頚を起こすことで、舌骨を持ち上げる筋肉を鍛える。寝た状態で行えなければ、ギャッジを上げた状態でもかまわない。
口から食べ物がもれる 頬を膨らます、ストローや笛を吹く、パ行の構音を繰り返してもらう。
鼻から食べ物がもれる 頬を膨らます、ストローや笛を吹く、パ行の構音を繰り返してもらう。
口の中がとても乾燥している

保湿、水分摂取(液体を安全に飲み込める方の場合)、頬のマッサージを行う。

参考文献
1) 道脇幸博、角保徳、三浦宏子、永長周一郎、米山武義:要介護高齢者に対する口腔ケアの費用効果分析、
老年歯科医学雑誌 17(3), 275-280, 2003
2) Yoneyama T, Yoshida M, Matsui T, Sasaki H. : Oral care and pneumonia., Lancet. 354, 515, 1999
3) 戸原玄、下山和弘:簡便な評価に基づく口腔ケア、老年歯科医学雑誌20(3), 227-230, 2005

日本介護食品協議会

 このページのパンフレットをご用意しています。ダウンロードしてお読みください。(PDFデータ:823KB)
 
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